(1)国民主権原理が国政より地方ではやや緩い(2) 憲法8章「住民の意思に基づく地方自治」を組み合わせることで、「外国人のうち、永住者」に限って地方参政権を認める論法
(p74-p77)
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憲法だと国民主権原理が優先されるが、地方公共団体だとそこまで優先されない理由として
「8章の地方自治に関する規定は...公共的事務は住民の意思に基づき地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解される」そうだとすれば〜と繋げている
後半単体だと国政でも同様に主張した要請説が国民主権で否定されているのだから、地方でも同じように負けそう。
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おおまかに言えば、「国政と地方とでは国民主権原理の及ぶ度合いに違いがある」だけでも「地方では外国人参政権が国政ほど厳しく否定されない」という方向性を示すには十分です。
しかしそれだけだと「ではどの外国人にも地方参政権を認めるのか?」という問題が出ます。そこで憲法第8章の地方自治保障(「住民の意思に基づき地方公共団体の事務を処理する」というしくみを憲法上の制度として定める点)に着目することで、「日常生活と密接な住民に限る」という枠付けが可能になります。
「国民主権の及ぶ度合いが国政より弱い=地方なら外国人参政権OK」という一般論だけだと、外国人なら誰でもOKという結論を排しきれません。
そこで「地方自治は主として住民の意思を反映させるための制度」という論拠を補強すると、「地域社会に恒久的に溶け込んでいる(例: 永住者など)外国人であれば住民としての意思反映が認められる」というかたちに絞れるのです。
要するに、(1) 国民主権原理が国政より地方ではやや緩いということ、(2) 憲法8章で「住民の意思に基づく地方自治」が保障されていること、の両方を組み合わせることで、「外国人のうち、永住者など地域住民として密接に関わる人」に限って地方参政権を認める余地を確保しているわけです。後半の8章の話があることで「誰でも良いわけではなく、住民としての日常生活との結びつきを基準にする」という理屈づけが可能になる、ということです。